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No.66 「コンクリートから人へ」は嘘?=高橋知事の防災感覚

2012年02月01日 15:22

 少し古い話になるが、去る1月21日に自民党本部で開催された政策セミナーで、高橋知事が道内の津波被災地を視察した感想として、「『コンクリートから人へ』は嘘だと思った。コンクリートがしっかりしているところは人を守る」と発言したそうで、翌日の新聞は民主党の公共事業見直しを批判したと報じた。

 
 昨年5月に訪れた宮古市田老町を思い出してみた。世界最大であろう巨大な防潮堤が設置され住民を守るはずだった。しかし、自然の猛威は軽々とその上を超えて人々を襲い、見渡す限りのガレキのなかにコンクリートでできた堤だけが何事もなかったように、そこに存在していた。

 
 一方で、「てんでんこ」に代表されるように防災教育を熱心に行ってきたところでは、小中学生が地域の人々と一緒にいち早く高台に避難し、被害を最小限に抑えることができたという報告がある。
 自然災害で大事なのは「何が起こるかわからない」ということ。コンクリートでできた防災施設は、ある程度までは生命や財産を守るが過信は禁物だ。


 安全なところへできるだけ早く避難することが人命を守る災害対策の要諦であり、ハードよりもソフト面の対策の方が重要である。東日本大震災の教訓の一つだろう。
 高橋知事にはそういう発想はないらしい。
 そもそも、道内の被害状況を冷静に分析すれば、コンクリートが人を守るという感想は出てこないはずだ。


 民主党政権が否定したのは、すべてにハードの公共事業を優先してきた自民党政治のあり方である。二百年に一度の大洪水に備えるとして1987年に整備が始められた「スーパー堤防」。膨大な事業費のため進捗率はわずか1%だそうだ。二百年経っても未完成だろう。
 莫大な予算を使ってダムや堤防をコンクリートで塗り固めて「自然を征服する」という考え方は非合理的でもある。滋賀県の嘉田知事も「減災」という考え方でダム建設を退けた。


 かつて公共事業は景気回復に一定の効果もあったが今は期待できず、国や自治体の財政を悪化させる大きな要因ともなった。自民党に対するリップサービスもあったのだろうが、膨大な借金を道民に負わせたという反省を忘れて、またぞろ公共事業神話を言い出すのは時代錯誤だろう。道の財政再建もできるはずがない。(政策情報室 馬場修)