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2011年12月03日 06:15
「つながる観光 膨らむ夢」(12月2日、日経新聞)、新幹線札幌延伸が現実味を帯びてきた。オール北海道で歓迎するこの問題について、あえて異論をはさむには少々勇気が必要だが、全道庁労連は、道財政の再建が軌道にのり、財源の見通しが確立するまでは北海道新幹線の「凍結」を知事に提言してきた経緯がある。新幹線問題の盲点とも言える財源論について言及しておきたい。
★ 道の負担は約5000億円
新函館-札幌間の延伸を巡っては08年12月、当時の自公政権が札幌-長万部間を着工認可することで合意したが、政権交代後、民主党政権は国の財政負担の観点から、新規着工を「凍結」していた。
今回、認可着工へ踏み切る背景は、今年6月の法改正で整備新幹線の施設使用料を財源にあてることが認められたというのが主な理由とされる(前出、日経新聞)。建設費は札幌延伸分だけでも1.5兆円になると試算されており、巨額の典型的な公共事業である。建設費の負担割合は通常国が3分の2、都道府県(沿線自治体含む)が残りの3分の1となっている。そうなると少なくとも道は今後5000億円の財政支出を覚悟しなければならない。
★道債残高がさらに膨れる
建設期間は負担を軽くするため15年とする案が浮上しているようだが、それでも毎年300億円を超える財政負担が発生する。現下の道財政の危機は、過去に景気対策として実施した公共事業にともなう道債に起因する。いずれ景気が回復し税収が好転するという目論見はもろくも崩れ、6兆円にもならんとする残高が重くのしかかる。国の財政危機も基本的には同じ構図の下で生じている。建設中の新函館までの道の負担分も約9割は道債で賄っているのが実態である。おそらく今後も起債を充当していくものと思われる。この道債の元利償還金の約5割は後年交付税措置されることとなっているが、道債残高が膨れることに変わりはない。
★果たして「経済効果」は期待できるか
道経連などによれば札幌延伸の経済効果は年間1400億円と見込まれている。しかし、机上の試算どおりの効果が実体経済に現れるかどうか多くの疑問点が指摘されている。例えば、航空路線と比べ、運賃がほぼ同じ(片道2万2千円前後、季節によっては割高)であることや札幌駅-東京駅間の所要時間がフル規格・最高時速360キロとしても約4時間(275キロだと4時間40分)とされており、航空機利用り30分~1時間以上も長くかかる。また、並行在来線の分離で、地域経済へのマイナスも大きく、余市町、函館市が反対している。いずれにしても「経済波及効果」に関しては、「費用対効果」の観点から他県の例なども参考に道としても厳しく見ておくことが肝要だろう。
(政策情報室 井上昭弘)