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【投稿】負の遺産を残してはいけない=泊3号機の営業運転「同意」

2011年08月20日 11:48

【投稿】
負の遺産を残してはいけない=泊3号機の営業運転への「同意」
札幌総支部 川口 哲二


【1】
 先日この人が、泊原発3号機再開をめぐる政府の姿勢を「地元軽視」と強く反発(してるように見えた)したのは、北電と政府の間で自分の頭越しに物事を進めた事にたいしてだったのか。それとも、単なるポーズなのか…。
 高橋知事は17日、調整運転中としていた北海道電力泊3号機について、政府へ営業運転再開への「同意」を伝えた。泊原発から10㌔圏の4町村首長の賛同をよりどころに、「原発推進」という自らの立場を原発立地の全国自治体に先駆け表明したかたちとなった。福島第1原発事故を踏まえれば、当然のごとく道議会の場での徹底した集中議論や、30㌔圏内にある後志管内の町村の意向、60~70㌔圏内にあり人口・経済が集中している札幌市の意向など、十分に尊重した慎重な対応が求められていた。にもかかわらずの結論…あまりにも拙速な身勝手な判断である。


【2】
 そもそも、再開の賛否を問う姿勢が知事にあったんだろうか?
 経済産業省に出した質問状も3号機の稼働を踏まえたものだし、政府・北電への怒りも手続きについてであって、安全性の確保や合意形成への疑問ではなかった。3号機は今年3月に調整運転に入ったが、福島第1原発事故で最終検査が先送りされ、通常は1カ月程度とされる調整運転が5カ月続いていた。調整運転といっても、発電・送電はフル稼働されており、営業運転に移っても実態は変わらないが…。
 福島第1原発事故を踏まえれば、そして再開への賛否を真剣に問うとしたら、調整運転をいったん止めて、安全対策を一から徹底的にチェックする必要性もあったはずだ。しかし、残念ながら知事にはそうした考えは微塵もなかったようだ。


【3】
 軽水炉でウランとプルトニウムの混合燃料(MOX燃料)を燃やすプルサーマル発電が福島第1原発3号機で行われていたが、炉心はメルトダウンを起こし建屋は水素爆発により破壊され、大量の放射性物質を放出し放射能被害を一段と大きくしてしまった。泊3号機も、同様のMOX燃料を燃やすプルサーマル発電である。
 北海道新聞や朝日新聞は、高橋知事の拙速的な対応に厳しく疑念を呈していたが、3号機の「プルサーマル計画」の危険性については、ほとんで触れられていなかった。プルサーマルの問題点として、①核反応が不安定なため、燃え方にムラができ燃料棒破損の危険性を増大させる。②MOX使用済み燃料の処理、処分は未解決③事故時の被害が大きくなる、など指摘されている。また、プルトニウムは核爆弾の材料となるもので、半減期が2万4千年というケタ違いの危険な放射性物質である。さらに、プルサーマル計画とは一対であったはずの「核燃料サイクル」は、福井県敦賀市の高速増殖炉・原型炉「もんじゅ」、青森県六ヶ所村の再処理工場ともトラブル続きで現在も運転のメドはたっていない。
 こうしたことも広く道民に情報提供し、そのうえで「リスクは上がるがプルサーマル計画炉の3号機再開は必要…」と、謙虚に賛否を求める姿勢を示すべきだ。


【4】
 「高橋知事が決断したのは妥当である」「電力危機回避の一歩にしたい」…道内2番目の購読部数をもつ読売新聞の社説だ。
 福島原発事故は、いとも簡単に住民が生活し生き続けるための土地や家を奪いさり、とてつもない社会混乱と経済的打撃を与え、今も福島県民をはじめ全国に不安を与え続けている。にもかかわらず、『電力不足に陥る。経済が停滞する。地域の雇用が失われる…』との原発推進の声が、むしろ大きくなっているように感じられる。
 今や総電力の3割を依存する原発大国の日本。勿論、安全神話を説いてきた歴代の政府や電力会社の福島原発事故に対する責任は重大だが、それを甘受しライフスタイルとしてきた私たち一人一人の問題でもあると思う。人間の手におえないリスクを抱え、それでも原発を利用するのかどうかの選択を迫られている時だと思う。
 今が正念場。やはり「負の遺産」は残してはいけないと心から思う。