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2011年07月14日 10:33
寺島実郎氏の原発に関する姿勢にどうも説得力が感じられない。日曜朝のサンデーモーニングでのコメントも司会の関口宏から突っ込まれるほど歯切れが悪い。彼の言説は、ブッシュ政権のイラク戦争に終始批判的であったように、外交・防衛路線に関してはまさにリベラルそのもので、説得力を持ち、ファンも多いことだろう。
なぜ、原発に関してはこのような姿勢であるのか。いろいろ調べてみると、彼は昨年6月閣議決定の政府のエネルギー基本計画策定に委員として深く関与し、エネルギーの「ベストミックス」論を主張していたことが見えてきた。
菅首相が、現在「白紙」に戻して議論するとしているエネルギー計画では、2030年までに現在54基の原発を14基増やし、原子力50%、再生可能エネルギー20%とされている。彼が政府の委員会でどのようなベストミックスを主張し、このような計画ができあがったかは定かではない。
寺島氏は原子力について、ちょうど政府委員として計画策定に関わっていた頃「現在の55基体制を9基増やして64基体制に持って行くべき」(2010年4月5日、日経BP)と述べているが、いずれにしても、再生可能エネルギーとのバランスをとりつつも原発推進を前提とした立場であったことは明らかである。
しかし、彼も想定していなかった福島第1原発事故。サンデーモーニングで関口宏からコメントを求められると「日本の原子力技術は開発は優れているが事故が起きた時の収束に関しては全くノウハウが蓄積されていない」などと頓珍漢な苦言を呈するだけで、原子力からの脱却などという発言は一切聞くことがない。
浅井慎平、田中優子など他のコメンテーターとも全くかみ合わないし、原発問題を議論することに憂鬱感さえ覚えているようだ。もう番組から降板した方がいいかもしれない。
先日、聴講している「HBC文化塾」でも寺島氏の講演を聴く機会があった。ここでも、彼は原子力からの脱却に否定的だった。帰りの飛行機の時間が迫っていたのか、他の講師には質問の時間を設けるが、受けずにさっさと退場してしまった。「気分は反原発」だが「原子力の平和利用で世界をリードしてきた日本がここで撤退(専門家がいない)するようなことになれば原子力技術分野で孤立する」などと強弁した。
彼を包む憂鬱さとは、心の中は「脱原発」だが、表向きには転向できないということだろうか。3.11まではいたるところでベストミックス論を展開してきたものとしては、一転して思考回路を転換させるにはあまりにも、辻褄があわなういということなのだ。
しかし、止まるところをしらない放射能汚染の恐怖、福島の廃炉に数十年という現実を直視するなら、寺島氏の常套句である「パラダイム転換」を原子力に関する彼の思考回路そのものに適応さなくてはならない。一日も早く歯切れのいいコメントを復活して欲しいと願うのは私だけではないはずだ。
(政策情報室 AI)