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2011年07月10日 06:42
7時半というゴールデンタイムでの放映だったので観た方も多いと思う。昨晩のNHKのシリーズ原発危機「どうする原発」はいい企画だった。どうするどころか、NHKの報道の姿勢を明らかに脱原発へシストする内容だったといっていい。もちろん司会の三宅アナウンサーや水野解説委員が「脱原発」といったわけではない。
この番組の討論を終始リードしたのは実は作家の吉永みち子だった。非常にわかりやすい口調で脱原発論を展開、参加者はただ頷くだけだった。NHKはこの吉永みち子に語らせることで脱原発の報道姿勢を視聴者に示したといえる。彼女は効率性やコスト面で原発の優位性を強調するこれまの推進論にもはっきりと論駁を加えた。
浜岡原発の設計にかかわったという元プラント設計者後藤政志や再生可能エネルギー推進で第1人者の飯田哲也もこの吉永の脇をがっちり固め、原子力推進の立場から出席した奈良林直北大教授や元資源エネルギー庁課長澤昭裕の原子力推進論に具体的かつ説得力をもって反論した。
通常、この種の番組は、特にNHKは組織の性格上、両論併記で幕を閉じるのが普通だが、今回は明確なメッセージを視聴者に残した点は驚きだった。こうした背景には、番組冒頭に紹介された世論調査で3分の2が原発を「全て廃止」か「減らすべき」と回答しているように、収束のメドがつかない福島原発、なによりも恐るべき放射能汚染の拡がりが深く国民の脳裏に焼き付いていることだ。
圧巻は、吉永が政府に「脱原発姿勢を明確に」と結論づけたことだ。政府の原発に対すつ基本姿勢があいまいだから混乱が続くのだ、と言い切った。思わず「そうだ」とテーブルを叩いてしまった。日本が、これからも原子力に依存する社会を目指すのか、それとも脱却するのかということは日本が抱える根源的な問題となってしまったのだ。再稼働問題もこの一点から整理しなければ、結局は浜岡原発問題と同じ混乱を残すこととなる。ストレステストもしかりである。
放送中には、1万件を超える、ツイッターやメールが寄せられたとしているが、その一部が3回に分けて紹介された。「電気料金があがっても原発は進めるべきではない」などほとんどは脱原発を強調する内容ばかりだった。ここにも、NHKの報道姿勢が伺われる。当初の企画はもう少し、両者のバランスをとるはずだったと思うが、生放送ということもあって、編集できない分、勢いのある吉永みち子、後藤政志、飯田哲也の主張が非常に輝いた。
福島原発事故後、これまで原子力発電の可能性を信じてきた政治家、電力関係者、学者研究者、官僚、マスコミのなかにも多くの疑念が生じている。推進論者が脱原発に転向することは恥ずかしいことではない。科学に忠実であればあるほど、原子力からの脱却に舵を切ることは必然的だろう。現実に目をつぶってはならない。番組冒頭には細野剛志原発担当相が主演していた。民主党政権は勇気をだして「脱原発」の姿勢を明確にする時だ。
(政策情報室 AI)