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NO31 放射能の怖さ=児童の被ばく線量20ミリシーベルトへの疑問

2011年04月27日 15:02

福島第1原発の事故で政府は20㌔圏内を住民に立入を禁止する「警戒区域」に指定、また長期的な健康被害を防ぐため20キロ圏外でも年間の積算線量が「20ミリシーベルト」を超える恐れがある地域は別の場所へ避難を求める「計画的避難区域」とすることを決めた。


また、昨日の朝刊各紙は、26日政府が公表した福島原発周辺の放射線量分布図を一斉に掲載しているが、これでわかることは、放射能汚染の分布は必ずしも半径に収まっているのではなく原発から北西にラグビーのボールのように広がっていることが見て取れる。


このため原発から30㌔以上離れている飯館村やさらに北西で宮城との県境にある伊達市でも「計画的避難区域」の基準である「20ミリシーベルト」を超えており、今後、広範囲での住民の避難が必要となっている。実際、福島第1原発から60㌔以上離れている福島市内の公園で大気中から国の基準(毎時3.8マイクロシーベルト=年間20ミリシーベルト)を上回る放射線量が検出されたとして、同市が「公園の利用は1日当たり1時間以内」との看板を設置した(25日「東京新聞」)との報道もある。


さて、考えたいのはこの「避難」の基準とされいる「20ミリシーベルト」が果たして妥当かどうかということである。またどのような根拠に基づくのかとう点である。
放射線防護に関する国際的な学術組織である国際放射線防護委員会(ICRP)ではもともと一般公衆の被ばく制限を平時で年間1ミリシーベルト未満としてきており、日本の国内法もこの基準を踏まえ整備されてきた。


ところが、福島第1原発の事故を受けて出した3月21日の声明では「一般公衆における参考レベルとして年間1~20ミリシーベルトの範囲も可能」とする大幅な許容値の拡大を示し、日本政府は、この上限を採用したのである。もともとICRPは「緊急時20~100㍉シーベルト、緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルト、平時1ミリシーベルト以下」としていたので、緊急時の下限という見方もできる。


しかし、この「20ミリシーベルト」基準は、4月19日の文科省の通知「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な考え方」でも採用されており、屋内・屋外での活動の目安とし、被ばくに弱いとされる児童生徒の許容値として「適当」としている点にも注意を払う必要がある。


このようなことから「20ミリシーベルト」基準については市民団体などから批判の声があがっている。先日の「25年目チェルノブイリデー記念講演会」で「美浜原発に反対する会」の小山英之氏は、これまで認定された被ばく労働者の年平均線量は10ミリシーベルト以下でも白血病にかかっていると報告(4月25日)してるが、この事実は、厚労省のまとめ(28日付「朝日新聞」)でも明らかとなっている。次のとおりである。

「原子力発電所に勤務する労働者で、放射線被ばくが原因で、白血病などのガンを発生し労災認定を受けた人が1976年以降で10人いることが厚生労働省のまとめでわかった。10人の累積被ばく線量は、最大129.8㍉シーベルト、最小5.2㍉シーベルト」


マスコミ報道は「100ミリシーベルトまでは健康に影響がでない」としてこの「20ミリシーベルト」は「余裕を持った数字」(4月24日「朝日」)などと解説しているが、このような原発労働の実態が明らかとなっている以上、大いに疑問のあるところだ。しかも、想像力を働かせなければならないことは一般公衆は20ミリシーベルトが限度だが原発労働者はその10倍以上の250ミリシーベルトまで「問題なし」とする差別的な基準値にも批判を向けなければならない。


放射能を「正しく怖がる」ことは大事だ。しかしこれまで見てきたように「20ミリシーベルト」を生命に危険が及ばない安全な基準として政府が「強要」することが果たして科学的な知見と客観的事実に基づく選択なのかどうか冷静に考えることが重要である。


(政策情報室AI)